手のひら椀の美学

人間の行動と環境の関係性

 
人間の行動は環境にコントロールされています。
従って人間が意識的に又は無意識に行っている一つひとつの動作は対象となるモノ(環境)に制約されていると言えます。
このことからモノのデザインはとても重要なポイントになることがわかります。
人間がストレスなくモノと良好な関係を結ぶことができれば、モノの生産者と使用者双方にとって最高の喜びではないでしょうか。
手のひら椀もまた人間とモノとの関係性を追求するプロダクトでありたいと思っております。

無意識から気付きへ

 
汁椀や飯茶碗は私たちが生まれた時には既に現在のかたちで存在していました。
従って普段の食事においてこれらの食器を使う動作を意識することはありませんし、動作の詳細を尋ねられても直ぐに答えることは出来ないでしょう。
つまり私たちにとって今までのお椀(碗)の基本形は空気や水と同じ存在であるのです。
手のひら椀は従来のお椀(碗)と全く異なった動作を要求します。
その動作のズレが大きいせいで手のひら椀を持った瞬間今までにない感覚を感じるはずです。
実は裏を返せば長い間私たちが従来のお椀(碗)を使うことで身体で感じていた無意識の記憶を手のひら椀が呼び覚ましてくれたとも言えるのです。

ナチュラル&エレガント

 
手のひら椀を体験してみて下さい。
なぜか心が優しくなります
なぜか心が落ち着きます
なぜか心が豊かになります
なぜか心が解放されます
なぜか食がすすみます
なぜでしょうか?
それは、手のひら椀が使い手の身体と心にストレスを感じさせないからです。つまり手や指の微妙な動作を要求せず、しかも動作に迷いがないため心と体にストレスを生じさせないからです。
そのせいでしょうか、手のひら椀を使うシーンを見ていると、とてもナチュラルでエレガントです。

手のひら椀の機能性

持つ置くがワンアクションで完了


「手のひら椀」の最大の特徴は脚があるためお椀の部分が浮いた状態になっていることです。
そのため脚部に手を差し入れるだけで簡単にお椀を持ち上げることができます。
置く時も手をスッと抜くだけで完了です。
「手のひら椀」は健常者の方はもちろんのこと高齢者や障害者の方にも優しいお椀です。
(障害の種類によっては使いにくい場合もあります。)

多様な手のサイズに対応

 
モニター調査のデータに基づき、できるだけ多様な手に対応できる脚部のラインを割り出しました。
より多くの方にご利用いただけるように「手のひら椀」のサイズは、3寸8分と4寸の2サイズをご用意。

的確に手に伝わる熱

 
手のひら椀を持った時の指や手のひらに伝わる熱に注目しました。
熱過ぎれば持てません、かといって熱い汁が入っている時に熱いと判らないようでは危険です。
「手のひら椀」は椀底面部の木地の厚みを調整して指や手のひらに伝わる熱を最適にしました。
熱の伝導率が低い木製だからこそ可能にしたフォルムです。

使用中の安定感

 
いくら見た目が良くても、実際に使って安定感がなければだめですね。
「手のひら椀」は従来のお椀より少し背は高めですが、実際に使っていただくと安定感があることが実感できると思います。
美しいフォルムと実際に使用した時の安定感の両方を追求したデザインです。

洗いやすく拭きやすい形


「手のひら椀」は側面のラインが全て曲面で出来ています。
ですから洗い残しや拭き残しの原因となる角や隅になる部分がありません。
とても気持ち良くお手入れが出来ます。

重ねやすい


信じられないかもしれませんが、「手のひら椀」はスタッキングしやすい形なんです。
しかも安定感があります。ぜひ試してみて下さい。ただし、一般的に従来のお椀より高さは高くなります。